イヤホンを専門にレビューするYouTuber &ブロガーの「ららまろ」です。
今回は、元ゼンハイザーのエンジニアとしてHD600やHD650、HD800などを手がけたアクセル・グレル氏が立ち上げたブランドGrell Audioの開放型ヘッドホン「OAE2」を紹介します。

目指したのは、まるでレコーディングスタジオそのものに身を置いているかのようなリスニング体験。
独自開発の「FSFM(フロントサイド・サウンドフィールド・モジュレーション)技術」により、ドライバーを前方に配置することで、まるでスピーカーで聴いているような前方から音が聴こえる、立体的で滑らかな音質を楽しめます。

価格は99,000円と決して安くはないんですけど、これまで聴いてきたヘッドホンの中でもかなりスピーカーに近い感覚があって、想像以上に面白い1台でした。

見た目はやや個性的ですが、単に珍しいだけの製品ではなく、低音から高音までしっかり楽しめる本格派です。
YouTubeでも紹介してます!
本記事は「株式会社アユート / Grell Audio」より製品の提供を受け作成しています
Grell Audio OAE2 デザイン・付属品
付属品
パッケージはかなり大きく、期待感が高まります。

開けるとしっかりしたレザー調のキャリングケースが入っています。

ケース自体は高級感がありますが、サイズは大きめなので、気軽に毎日持ち歩くというより自宅で保管する用途に向いていますね。

ケーブルは2種類付属します。

バランス接続用の4.4mmケーブルと、3.5mmケーブルです。

3.5mm側にはスクリューロック式の6.35mm変換アダプターも付属するので、据え置きアンプにもそのままつなげます。

どちらも長さは約1.8mで、ケブラー補強入りの超極細OFC銀メッキ線を使った布巻きケーブル。
しなやかで絡みにくく、取り回しはかなり良いですね。

ヘッドホン側は左右とも2.5mm 4極ソケットで、好きな側からケーブルを出せます。

説明書によると両側出しケーブルも別売りで用意されているようで、消耗しやすいパーツをモジュール交換できる設計なのも長く使いたい製品としては嬉しいですね。

開放型らしさを生かしたデザイン
ヘッドホンはこのようなデザイン。

ゼンハイザーの無骨なデザインと比べると、ややオシャレというか、現代的なワイヤレスヘッドホンみたいなデザインですよね。

スライダー部分には金属素材が使われていて、シンプル!
スライダーを伸ばしても全体的なデザインが崩れないのが、特に現代的だなと感じるポイント!

ハウジングは開口率60%の穿孔スチールシートで覆われています。

前面だけでなく側面までメッシュ状に覆われていて、開放型として空気の抜けをかなり意識した構造に見えます。

ポリアミド製の支持構造が音響部品を固定し、不要な振動を抑える設計とのこと。

ヘッドバンドの頭に触れる側には通気性のあるベロア、表面にはレザーを採用しています。

左右にはブランド名とOAE2の文字が入ったシルバープレートもあり、細部まで上質感があります。

イヤーパッドも厚みのあるベロア素材。
耳の周りに当たる感触は柔らかく、パッドそのものの質感はとても良いですね。

Grell Audio OAE2 スペック
| Grell Audio OAE2 | |
|---|---|
| 重量 (本体) | 約378g (ケーブル含まず) |
| ドライバー構成 | 40mmバイオセルロース振動板 ダイナミック型 |
| ケーブル仕様 | コネクタ:2.5mm4極 プラグ:3.5mm(ストレート)/4.4mmバランス(ストレート) 線材:ケブラー補強入り4芯銀メッキOFC銅 長さ:約1.8m |
| 付属品 | OAE2ケーブル(3.5mm) OAE2ケーブル(4.4mmバランス) 3.5mm to 6.35mm変換スクリューロック式アダプター レザーキャリングケース |
| インピーダンス | 38Ω |
| 音圧感度 | 100dB @ 1kHz/1Vrms |
| 再生周波数帯域 | 6Hz〜46,000Hz ※12Hz〜34,000Hz:偏差-3dB / 6Hz〜46,000Hz:偏差-10dB |
| 価格 | 99,000円(税込) ※2026年6月時点 |
Grell Audio OAE2 レビュー
やや難のある装着感
重さは約378gと数字だけを見るとやや重ためですが、重量が頭に強くのしかかる感覚はほとんどなく、重さそのものは気になりにくかったです。

ただ、僕の頭の大きさだとスライダーを最大まで伸ばした状態でちょうどよく、頭が大きめの方は調整幅が足りない可能性があります。

ヘッドバンドはやや硬めで、クッション性が均一ではないように感じました。

耳まわりは柔らかいイヤーパッドのおかげで痛くなりませんでしたが、1時間半ほど使うと頭頂部に痛みが出てきました。

スピーカーらしさはどう生まれる?
OAE2の核になるのが、FSFM(Front Side Sound Field Modulation)という独自技術です。
40mmのバイオセルロース振動板ドライバーを耳の前方に配置することで、スピーカーのように前から音が聴こえてきます。

前方のドライバーから出た音はハウジング内部で反射し、空間を作ります。

ドライバーをスピーカー、ハウジングを部屋の響きと考えるとイメージしやすいかもしれません。

さらに、その空間情報を含む音が耳の形状によって最適化されて鼓膜に届くという考え方も取り入れています。

開放型では完璧に近い音質
音質チェックはiFi Audio ZEN DAC 3、Astell&Kern PD20、AK HC5などを使用。

最初に感じたのは、特殊な構造なのに違和感のある音ではなく、かなり自然に聴けることでした。

全体としては、スピーカーで聴いているような自然で立体的な空間表現と、低音から高音まで滑らかにつながるバランスが特徴ですね。
空間表現と定位
一番の特徴は、やはり空間表現。
一般的なヘッドホンは頭の中心を軸に音場ができやすいですが、OAE2は鼻先の少し前あたりから音が出てくるような感覚があります。

完全にスピーカーと同じではないものの、前方から包み込まれるような広がりがあって、左右の境目もかなり自然です。

左右の音がくっきり分かれすぎず、境目が自然につながる一体感も魅力です。
Astell&KernのDAPにあるクロスフィード機能をONにしたような感覚に近いですが、後付け処理っぽさが全く無いのが良いですね。

低音
開放型としては驚くほど、しっかりした量感。
ロックやポップスも十分な迫力で楽しめますし、開放型の低音が物足りないと感じてきた方にも刺さりそうです。

ゼンハイザーHD660S2も開放型として低音がしっかり出るモデルですが、OAE2はさらに下のサブベース帯域まで沈み込みます。
HD660S2はサブベースより少し上の帯域が強めに出る印象で、OAE2のほうがより自然な低音バランスに感じました。

ただし、密閉型ほどのパンチはないので、EDMを重低音重視で楽しみたい方は少し物足りなさを感じるかもしれません。
ボーカル
ボーカルは低音に埋もれず、かなりクリアに前へ出てきます。
歌い手が鼻先くらいの距離で歌っているような感覚があり、その少し後ろに楽器が配置されるので、埋もれる感じがほとんどありません。

息づかい、声のかすれ、細かなニュアンスまで情報量が多く、臨場感もかなりあります。
歌の主役感をしっかり出したい曲では、この前方定位の良さが特に分かりやすいですね。
高音
高音はシンバルのきらびやかさをしっかり出せるのに、刺激が少ない不思議な質感です。
ドライバーが耳に対して正面ではなく前方にあることで、音が直接入りすぎないのが効いているのかもしれません。

長時間聴いても疲れにくく、別のヘッドホンに替えると高音のエッジを強く感じるほどでした。

相性の良いジャンル
まとめると、スピーカーのような自然で立体的な空間表現と、角の取れた滑らかなサウンドが魅力です。
開放型ではトップクラスの低音で聴きごたえもあるのが印象的。

特に相性が良いのは、生楽器の質感や空間の広がりを活かせる音楽。
クラシックでは縦方向の空間も広く、楽器ひとつひとつの配置が見えやすいので、聴いていて発見が多いですね。
低音がしっかりあるため、開放型の中ではロックも十分楽しめました。
HD800・HD800Sとの位置づけ
ゼンハイザーHD800やHD800Sは、解像度の高さが素晴らしい一方で、低音の量感が少し物足りないと感じる方もいると思います。
OAE2は解像度だけで勝負するタイプではありませんが、帯域バランスに不足感が少なく、広い空間と低音の量感を両立しています。
細部を鋭く切り取るより、音楽全体を自然に、長く気持ちよく聴かせるタイプですね。
個人的には、かなり好きな音質で、開放型の中では完璧に近い音質だと思います。
モニター用途
音楽制作で使う場合、前方向への定位がわかりやすいので、ミックス用途にも使いやすそうです。
全体の空間表現やバランス確認から、ピンポイントの楽器や帯域の調整まで、ヘッドホン1台で意外と両方いける印象でした。
普段は全体のバランスをスピーカーで確認し、細かい調整をモニターヘッドホンで行うという使い方をすることが多いですが、スピーカーを鳴らせない環境ならOAE2はかなり有力な選択肢です。

接続と鳴らしやすさ
OAE2には4.4mmバランス接続用と3.5mmアンバランス接続用のケーブルが付属します。
普段は分離感やパワー感を求めてバランス接続を選びがちですが、OAE2ではアンバランス接続のほうが相性が良いと感じました。

バランス接続にすると左右の分離が少し強まり、OAE2らしいスピーカー的な一体感が薄れるように感じます。

クラシックやサウンドトラックを聴くならアンバランス接続、ロックのように力強さがほしい曲ならバランス接続という使い分けが良さそうです。
想像より鳴らしにくい
スペック上はインピーダンス38Ω、感度100dBですが、想像よりは鳴らしにくいです。
HD660S2と近い音量まで上げる必要があり、スマホやパソコンへの直挿しでは性能を引き出しにくい可能性があります。
しっかりしたヘッドホンアンプやドングルDACを用意したほうが安心ですね。

こんな方におすすめ
メリット・デメリット

装着感は正直に注意が必要。
スライダーの調整幅が狭く、硬めのヘッドバンドによって長時間では頭頂部が痛くなることがありました。
ケーブル端子も少し奥まっていて抜き差ししにくく、社外ケーブルへ交換する場合は端子の適合を慎重に確認したほうが良さそうです。

おすすめな人
OAE2は、普段からスピーカーで音楽を聴いていて、ヘッドホンでもその感覚に近づきたい方におすすめです。
すでに多くのヘッドホンを使ってきて、これまでと少し違う空間表現を体験したいオーディオファイルにもかなり向いています。

クラシックやサウンドトラック、生楽器を使った音楽をよく聴く方、スピーカーを鳴らせない環境でミックスの全体像を確認したい方にもおすすめですね。
価格はやや高いですが、ただの変わった構造のヘッドホンではなく、音のバランスや質感までかなり丁寧に作り込まれています。
開放型で自然な低音、前方へ広がる音場、聴き疲れしにくい高音を求めるなら、かなり魅力的な1台です。


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